日本で唯一の品種から生まれる「幸せ」のお肉。その美味しさの秘密とは?
鹿児島県、大隅半島の中心に位置する鹿屋市。その山の麓にある「ふくどめ小牧場」。この牧場には、日本ではここにしかいない「サドルバック」と「幸福豚(こうふくとん)」という品種のブタが飼育されています。
この幸福豚を100%使用したハンバーグは、さらっとした口当たりで柔らかく、お肉がジューシーでとにかく美味しい!
また、ハムやソーセージはサンドウィッチやホットドッグとして、Pan&のパンとも相性抜群です。
そこで今回の記事では、日本ではここにしかいない稀少なブタの飼育をし、こんなにも美味しい加工肉を生む「ふくどめ小牧場」の “美味しさのヒミツ” に迫りました。
ずっとやりたかった、父から受け継ぐ養豚
「ふくどめ小牧場」福留洋一(ふくどめよういち)さん
お話を伺ったのは、ふくどめ小牧場で加工に携わる福留洋一さん。
40年ほど前から家族で養豚業を営まれていたという福留家。今では、家業であった養豚をお兄さんが、加工・販売を次男である洋一さん、妹さんも販売を手伝い、種付から飼育、加工・販売までを一貫して家族を中心に営まれています。
どうして家業を継ぐことになったのか、そう伺うと「小さいころから兄弟で養豚を手伝っていました。兄も自分もそのころから養豚がやりたかったんです。自分たちで育てたブタは最後まで自分たちでという想いがありました。」と洋一さん。その真っすぐな答えから、幼いころからの夢であり、迷いのなかった純粋な気持ちが、小牧場の人気を支えているように感じます。
ドイツで出会った稀少品種「サドルバック」
ふくどめ小牧場で飼育される稀少品種の「サドルバック」
ヨークシャー種(日本では「黒豚」と呼ばれる)やバークシャー種など、ブタにも品種があります。
ふくどめ小牧場で飼育されるのは、「サドルバック」と「幸福豚」という日本ではここにしかいない品種です。「幸福豚」はサドルバックと白豚を掛け合わせたふくどめ小牧場のオリジナルブランド豚。一方「サドルバック」は世界的にも数の少ないヨーロッパ原産の稀少品種です。
そんな稀少な「サドルバック」がどうして鹿児島に??
その出会いは、洋一さんの修行時代に遡るそうです。洋一さんら兄弟は、高校卒業後にご両親から『外の世界を見てきなさい』とそれぞれイギリス留学へ。
「兄はイギリス留学後オランダへ、自分はイギリス留学後に食肉加工を学ぶために本場であるドイツへ行きました。」
洋一さんはイギリス留学中にドイツへ出かけ、そこで「サドルバック」に出会います。「肉質の良さ、赤身と白身のバランスがとにかく良い!」と、その品種に惚れこんだそうです。
サドルバックを日本へ
世界的にも数の少なかったサドルバック。脂が厚く、肉質のよい赤身部分の量が少ないため、以前は人気がなく数を減らしていたそうです。
洋一さんが惚れこんだサドルバックは、ドイツの「オーガニック村」と呼ばれる「ヘルマンスドルファー」という場所で育てられていました。この村をつくる有機農場を経営する会社で、洋一さんは実に7年もの間修行されています。
「ドイツに兄と父が来た際、サドルバックを食べてもらい『日本でやろう』と3人で決めました。」家族満場一致で美味しさに惚れこみ、日本での飼育が決まったそうです。
そこから、サドルバックを探し出しようやく見つけたアメリカの大学から5頭を日本へ輸入することになりました。「飛行機の手配から空港での1週間にわたる検査など、本当に大変なことでした。」福留家にとって大きな投資であったと語る洋一さんですが、上手くいく確信も同時にあったといいます。
ドイツの国家資格「マイスター」を取得
洋一さんの技術が光る加工肉
サドルバックの輸入を終えた後も、洋一さんは本場のドイツに残り、修行を積まれました。それは、「ドイツの国家資格“マイスター”を取得するまで。」と決めていたからだそうです。その後、見事「マイスター」を取得。
技術だけでなく、教育、経営に関わるスキルなども含まれ、且つドイツ語の試験に合格が必要な、ドイツで最高峰の国家資格です。洋一さんが、異国の地で相当な苦労をされながらも熱意を絶やず強い想いを持っておられたことが伺えます。
飼育は目の届く範囲で、えさから良いものを
ふくどめ小牧場は「サドルバック」を中心に牧場環境を整え、飼育は目の届く範囲で頭数を絞って、丁寧な一貫経営をされています。
現在、サドルバックはわずか30頭に絞られているそうです。
美味しさの秘密について伺うと、「えさも質がいいものを与えています。海藻も入っていて、たっぷりミネラルが含まれています。人にいいものは豚にもいいんです。質がいいものを食べさせると肉質も良くなります。」と教えていただきました。
そんなブタから作られる加工肉も、豚肉の質が良いので余計なことはせず、とってもシンプルな工程で作られています。
「たまねぎはあめ色になるまで炒め、100%の幸福豚、鹿児島のこだわりの塩、黒胡椒は粒のものをコーヒーミルでつぶし、ナツメグ少々。」と、シンプルだからこそ、丁寧に手間ひまかけて作られるハンバーグです。
子供が美味しいと思うもの
ご自身が作るお肉を誰に食べてほしいですか、と尋ねると「小さい子供に食べてほしい」と洋一さん。
「兄の子供と自分の子供の計6人の子供たちには、いつも必ず試食してもらっています。いい意味で子供は正直だから。美味しいものだけ食べるんです。美味しいといって笑顔になってくれることがシンプルに嬉しいです。」加えて、子供たちにたくさん食べてほしいのは「安心」の面でも自信があるから、と答えてくれました。
また、肉だけでなく周辺の環境づくりも大切にされています。牧場では向かいでレストランも経営されています。その外でも気持ちよく食事ができるように、えさに納豆を混ぜて腸内環境を良くし、牧場特有の臭いを抑えているそうです。
木を植えてたり、景観を良くしたり、来た人が気持ちよく過ごせるそんな場所。
実は、ふくどめ小牧場のレストランでは数年前からスタイルブレッドのバゲットなどが使われています。サドルバックや幸福豚と焼きたてパンとの相性は抜群。ハンバーグだけでなく、洋一さんの作るハムやソーセージを挟んだサンドウィッチを食べに、ぜひふくどめ小牧場へも足を運んでみてください。
牧場のご紹介
〒893-0044 鹿児島県鹿屋市獅子目町81-1
10:00∼17:30 / LUNCH 11:30∼13:30(Last order)
定休日:月曜日・火曜日
TEL:0994-48-2324
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