社長コラム 「田中家の流儀、8枚スライス」
食品専門店の一家がその食品を普段からどのように食しているのか、興味深いところです。
豆腐屋の家で普段から食卓に出されるのは木綿なのか絹なのか? 冷や奴と湯豆腐で分けているのか?「醤油?ポン酢?」かける調味料に流儀はあるのか? 知ってどうするかと言えば、真似をしたいのです。普通の豆腐を旨く食べたいなら、豆腐屋の家で出されている豆腐を真似するのが一番だと思っています。
一階がパン屋、二階がその住居という暮らしで育ち、自営業の両親は、それこそ朝の早くから閉店まで働いていたので、お腹が空けば、勝手にそのあたりにあるパンでお腹を満たすという不作法な子供時代でしたが、唯一、休日の日曜日の朝だけは家族全員でテレビを観ながら朝食を食べる習慣がありました。
そこで両親が用意していたのが、食パンの8枚スライス。もちろんその食パンは前日に焼いた店のもの。8枚スライスには両親ともに共通の見解があって、「トーストするのに丁度いい厚さ」なのだそうです。なんでも、6枚スライスだと、水分の抜けが微妙に悪く、カリカリ感が物足りないそうです。また当時、4枚スライス等の厚切りトーストは「喫茶店で出てくる贅沢品で、家庭ではあまり馴染みないものでした。
食パンは、一斤の塊を寸前に切るのもこだわりで「パサパサとカリカリの違いはここに出る」とは両親揃っての言い草です。 かなり濃い目に焼いたトーストには、本バターをたっぷりと塗ります。まだ食品表示法なども相当に曖昧で、マーガリンのことをバターと呼称している人も多く、「本当のバター」という意味で「本バター」と言っていたのだと思います。
週に一度、日曜日の贅沢として、パンにたっぷりバターを塗れることが、家族にとってパン屋であることの優越感を確認しあう時間だったのです。 流儀は飲み物にもありました。両親はコーヒー、子供たちは決まってホットミルク。まだ電子レンジもなく、深鍋に牛乳と砂糖を入れ、噴きこぼれる寸前で火を止めるのは兄妹の役目でした。
濃く焼いたトーストのたっぷりバターの染みついた耳を、甘いホットミルクに浸して食べるのは今でも大好きです。こんなに旨いパンの食べ方は他に無いと思いつつ、家族の思い出と重なった味は、記憶と味覚の大切さを教えてくれます。
株式会社スタイルブレッド
代表取締役社長 田中 知
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